2021/02/15
歩くことは習慣性なので、正しい歩き方を続けていることで様々な問題を回避することができますし、逆に間違った歩き方が身についてしまうと、中~長期的に様々な問題を生じる可能性があります。
なので、正しい歩き方を身に着ける必要があるのですが・・・問題は、正しい歩き方をどのようにして身に着けるか?ということです。
例えば、「かかと着地時には、膝の角度は〇〇度、足首は〇〇度、0.2秒以内にそれぞれ〇〇度、〇〇度に変化させる必要があります」などの説明をしても、それを実行するのは至難の業です。
私自身、こうしたことを身に着けるためにも、スマートシューズなどの開発には携わっていますが、現段階で最も簡単で現実的な方法は、足の体重の掛け方を練習することでは無いでしょうか?
足のどこにどのタイミングで体重をかけていくかを徹底して練習することができれば、自然と足首の使い方を最適化することが可能になります。そして、歩行は連動しているため、足にかかる体重をコントロールすることで、足首・膝・体の重心などをコントロールすることが間接的に可能となってきます。
足のトラブルは、放置しておくと生活のQOLに関わってくるといっても大袈裟ではありません。
足の変形がひどくなれば、歩くこともままならなくなってくるため、歩行機能の低下→活動量の低下→社会性の低下→メンタルヘルスの低下→認知力の低下 などと、負の連鎖を引き起こす危険因子となりかねません。
一方で、正しい足の使い方をできるだけ早期に学んでおくことができれば、こうした問題を回避しやすくなります。そして、正しい足の使い方とは、分かりやすく言えば、足のどの部分にどのタイミングで体重をかけて移動させていくかということに繋がっていきます。
足のどこに体重をかけるとどんな問題が発生するのか?
下記の足圧マップをご確認ください。
大切なのは、これらの位置に体重が乗ることが悪いと言っているのではなく、「過度な圧力・長時間・間違ったタイミング」で体重移動が起こり続けていると、次第にこうしたリスクが増えていくと言うことを意味しています。
この情報は、なかなか手に入らない貴重なものになります!
図の真ん中は、手前みそになってしまいますが、私が開発したISEALインソールになります。青い点線の矢印が、足の体重のかけ方になります。
この軌道に合わせて、突起を設置して、足が突起をなぞるようにすると、自然と正しい体重移動を行えるように設計しました。
実は、設計時において最も苦労した部分になります。
突起の大きさは、ある程度大きくしないと、個人差や足の形において有効にはなり得ません。一方で、あまり大きくしすぎると、突起自体の刺激が無くなり体重移動をコントロールするのが難しくなります。
この体重移動は、左の図を見れば分かる通り、少しでも間違えると色々と足のトラブルに繋がる可能性があります。理論上完成していたこの機能を実際に完成させるまでには約2年、総計10回近い設計の改善を行いました!
最後の方は、一つの突起を横に数ミリ移動する・・などの作業に入りました。
そして、また何万歩分のデータを様々な人達から取って・・と非常に大変な作業でしたが、ようやく納得のできるものが作れました。
その一方で、右の図のようなイラストが横行していることには、大変な危機感を覚えています!!!!!というのも、このような体重のかけ方をするのは危険だからです。残念ながらこうした情報が横行しているのが現状です。ぜひ、この話を読んで頂いた方は、正しい理解をしていただきたく思います。
正しい足の体重移動と足首の動きの連動
どこに体重をかけるかということは、足首の動きと連動しています。
例えば、踵のみに体重が乗っている時は、かかと着地時であり、足首は背屈の状態にあります。
図で見れば分かる通り、インバーションは足を捻るリスクがあり、底屈は足の蹴りだし時に必要な動きです。それでは、一つ前の図(中)にある正しい足の体重のかけ方をすると、足首はどのような動きをするでしょうか?
かかと着地時は、若干エバーションと背屈、つまり軽いプロネーションが、かかと着地時の衝撃を吸収するのに必要です。
しかし、その後はスピネーション、つまり底屈とインバーションが必要になります。
このスピネーションが起こらないと、体重が母趾球周辺に集中し、外反母趾のリスクが高まります。
つまり、簡単に言うと、プロネーション→スピネーションとなります。
もっと厳密にいえば、プロネーション→スピネーション→底屈 という流れになります。
以前も書きましたが、オーバープロネーションという言葉を聞いたことある方は多いかもしれませんが、これには2パターンあります。
1つ目は、かかと着地時にプロネーションしすぎている。
2つ目は、スピネーションが起こっていない。
外反母趾が生じている場合は、2つ目が疑われます。
しかし、スピネーションはかかと着地時に起こると、捻挫をしやすくなります。
また、プロネーションが行われていないとo脚への膝の変形のリスクも高まります。
最後に、
ISEALインソールは、突起による足の体重のコントロールに加えて、傾斜をつけているので、自然とプロネーション→スピネーション→底屈がベストなタイミングで行われるように設計されています。突起を感じて、それをなぞるように歩くだけで、正しい歩行パターンを身に着けることが可能です。ぜひお試しください!
また、様々な科学情報をできるだけわかりやすく、基礎部分を面白く伝えたい!という気持ちから、YouTube番組を始めました。人形劇も含めて、毎回1テーマに絞って楽しく勉強できるようにしたつもりです(笑)チャンネル登録して頂けるとありがたいです!
文責:Dr Hanatsu Nagano
Nagano, H., Begg, R. 2018. Shoe-insole technology for injury prevention in walking. Sensors, 18 (5): 1468.
Nagano, H., Sarashina, E., Mizukami, K., Begg, R. 2019. Shoe insole intervention to reduce falls and injuries. Age and Ageing, 48 (4): iv1-iv2.
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